どうして売り専のお店を出したの?

よく聞かれる質問です。
まず、私はとある店舗の元ボーイです。数年在籍して、スタッフもやってましたので結構いろんな物事を見てきました。

その中で、私は売り専って社会でどういう役割を担っているのだろう?
と考える機会があり、それは「駆け込み寺」なのかなという答えにたどり着きました。

売り専は現代男子の駆け込み寺

当時のお店では先輩スタッフがよく「ここはゲイの職場だから」と、ノンケのボーイをつまはじきにする光景がありました。
同じ職場で差別があるっていうのが、ちょっといたたまれないなと思いましたが、当然そのはずで、売り専のスタッフはほとんどが元ボーイ。

ボーイはほとんど若いときに入店しますから、そのまま社会経験もなく、マネージャー(スタッフ)になるんですよね。
※ボーイの予約をとったり、教育する立場の人間を売り専業界ではマネージャーと呼びます。

すると、社会通念上ありえないワードが飛び交うわけです。
もちろん、仕事が風俗関係ですので、そういった風俗ワードもでるんですが、人にとってはつらいだろうというモラルを疑うワードですね。
私も当時の店長に言われたことがあるのが、

「お前は人間の心じゃないからわからんだろ」

など、人格否定の言葉も結構でます。
(映画の話の中で、どんな映画なんですか?ときいて帰ってきた言葉がこれです(笑))

それでもボーイは辞めない。辞めるボーイなんかいらないっていう風潮ですね。
なぜ辞めないか、それはお店が駆け込み寺だから。

ゲイとして生まれたことや、家庭に居場所がなく、家出同然で出てきてるので、お店に寝泊りしていて、ほかにいくところがないんですね。

そして、育ち上、そういった人格否定にある程度の抗体がある子が多い。
という実情です。

もし駆け込んだ先が地獄だったら

せっかく勇気を出して駆け込んだのに、そのお店が地獄だったら…当時の私はここは地獄だなと思ってました。チェーン店というかグループ店だったので、ほかの店舗の店長によっては色が違うのですが、その統括をしてる人がさっきの言葉を放つわけです。

そして沸々と、同じ店の子を救ってあげられる場所を作りたいという気持ちが芽生えてくるわけです。

そして事件は起きた。

売り専でいう事件とは。窃盗?喧嘩?

いいえ。そんなことは日常茶飯事です。財布や貴重品なんかは名前を書いていたとしてもなくなります。お金が欲しい子が多いですから。

ここでいう事件は大きく3つ。

  1. グループ店で起きた熱湯傷害事件
    ある店舗の店長がボーイに熱湯をあびせるという事件が起きました。
    示談という形になったときいているので、私がここで触れるのもよくないのかもしれません。
  2. ある店舗の店長が夜逃げ
    人気のある店長でした。人当たりもよく、優しかった。ある日、突然、寮の中身を空っぽにして出社してこなかったのです。
  3. 人をだます商売
    当時の先輩スタッフに言われて衝撃的だった言葉があります。
    「この子、大学生だから辞めさせる方向で」
    その後どんなことが行われたのか詳細はわかりかねますが、本当にその子は大学を辞めることに。人を陥れ、時間を作らせ、お店の出勤時間を増やすということを平気でやっているのだと知りました。

これらだけではないのですが、いまはこれだけにしておきます。
私は私で、自分を慕ってくれている子たちを守りたい、守るためにはどうしたらいいのか、日々考えていました。

同じ思いのスタッフがいた

当時の私はスタッフとしては新人だったのですが、中堅のスタッフに飲みに誘われ、心の丈を打ち明ける機会がありました。
皆それぞれに想いがあり、業界について疑問を抱きながらも、それに抵抗できない、いわゆる洗脳状態に近いものだったと認識しています。

この、洗脳をといたらこの人たちはどうなるんだろう?と。

私は時間をかけて、社会とは?売り専の役割とは?自分たちにできることとは?

そして自分を信じることができるか。

問いかけていきました。
彼らはそれぞれの思いが強くなり、結果、一緒に独立して店舗を立ち上げることになります。

これが、私がお店を立ち上げるまでの大まかな流れです。